
書誌情報
原題(発表年):방금 떠나온 세계(2021)
著者:キム・チョヨプ(김초엽、金草葉、Kim Choyeop)
訳者:カン・バンファ(姜芳華) ユン・ジヨン(尹志映)
装画:カシワイ
カバーデザイン:早川書房デザイン室
発行日:2025年9月
発売日:2025年9月18日
出版社:早川書房
ISBN:9784150415426
判型:文庫判(トールサイズ)
人より何十倍も遅い時間の中で生きる姉との葛藤を描く「キャビン方程式」など、社会の多数派と少数派が共存を試みる7つの物語。
引用:早川書房
メモ
以下の作品では女性間の関係が描かれています。
マリのダンス
原題:마리의 춤 著者:キム・チョヨプ(김초엽) 訳:ユン・ジヨン 監修:カン・バンファ 初出:『広場』(ウォークルームプレス 2019) 原タイトル「広場」(国立現代美術館50周年記念展〈広場:美術と社会 1990-2019〉
ダンス講師のソラは視知覚に特殊な障害を抱える少女・マリから請われ、彼女のレッスンを受け持つこととなる。視覚的な芸術表現を楽しめないはずのマリの目的とは……?
同じ空間にいても見えている世界が違うマリに戸惑いを覚えながらも、レッスンを通して寄りそっていくソラ。しかし、結局、マジョリティとマイノリティという垣根を越えられず、訣別せざるを得なくなる展開がせつないです。
プレスシャドー
原題:숨그림자 著者:キム・チョヨプ(김초엽) 訳:カン・バンファ 初出:『子音と母音』2019年冬号 原タイトル:「ブラウン・モーション」
遥か以前に地球から移住し、独自の進化を遂げた人々が地下都市に暮らす惑星。そこで数百年前に不時着した宇宙船が発見され、破損した休眠装置から地球人女性ジョアンひとりだけが救出されます。しかし、生きてきた時間とも仲間たちとも遠く引き離されたジョアンは深く心を閉ざし、隔離されたまま研究対象として扱われていました。そんな彼女に親身になって根気よく声をかけ続けて連れ出したダンヒはその孤独に寄りそおうと心を砕き、しだいにジョアンもダンヒに心を開き、親密になっていきます。しかし、異星にただひとりの地球人という状況は、ジョアンをいつまでも星に留めておくことはありませんでした。
ふたりの交流と別れ、そしてその後を描いた本作は、離れ離れになってもなお互いを想い続けた姿が胸を打つ、ほろ苦くも温かな物語です。
認知空間
原題:인지 공간 著者:キム・チョヨプ(김초엽) 訳:カン・バンファ 初出:『今日のSF』一号
人々が「認知空間」と呼ばれる格子状のストラクチャーを介して知識を共有する世界。認知空間に難なく適応したジェナと、ただひとり例外的に適応できなかったイヴ。幼い頃は特別な絆で結ばれていたふたりでしたが、その違いはやがて隔たりとなり、次第に疎遠になっていきます。そして、顔を合わせることさえほとんどなくなった頃、ジェナのもとにイヴの訃報が届きます。
以前、ふたりは認知空間をめぐって何度も議論を交わしていましたが、そのたびに意見は噛み合わず、平行線のままでした。しかし、ジェナはイヴが遺した研究記録に触れ、自分が一笑に付してきた彼女の主張を見直すことになります。もっと真剣に向き合っていれば、違う結末もありえたのではないか。そんな後悔を抱えながらも、ジェナはイヴが示した道をひとりきりで歩んでいきます。
キャビン方程式
原題:캐빈 방정식 著者:キム・チョヨプ(김초엽) 訳:カン・バンファ 初出:テーマ小説集『シティー・フィクション』(ハンギョレ出版、2020)
3年間音信不通だった姉から届いた一通の手紙。そこには、あるデパートの屋上にある観覧車に乗ってみてほしいと記されていました。かつて著名な物理学者であった姉は、事故に遭い、時間の流れに対する認知に不具合を生じ、介助が必要な身でした。以来、妹は献身的に姉を支えていましたが、過酷なリハビリに耐えかねた姉はある日突然姿を消したのでした。
異なる時間の流れに隔たれてしまった姉妹。その絆と再会のひとときを描く作品。









