少女期

書誌情報

著者:吉屋信子
装画:松本かつぢ
装幀:黒洲零
解説:嵯峨景子
発行日:2026年3月31日
発売日:2026年3月24日
出版社:文遊社
レーベル:吉屋信子少女小説集5
ISBN:9784892571350
判型:B6ソフトカバー
初出:『少女期』「少女の友」1941年1月号~2月号、4月号~11月号

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一般文芸児童書/YAシスターフッド友情連作短編集シリアスコメディせつない繊細

少女の幻に重なるわたしの体――

戦時下に書かれた、 別人として生きる少女の数奇な物語
「小さき花々」初単行本化作品六篇収録

引用:文遊社

メモ

  百合度 ☆ 深度 ☆☆

戦時中最後の少女小説連載作『少女期』に短編連作『小さき花々』単行本未収録の6編を付す。

『小さき花々』連作 収録作品(初出)
「白き薔薇」『少女の友』1937年1月号
「嫁がざりし姉」『少女の友』1940年5月号
「紫ゆかりの手記」『少女の友』1940年6月号
「中尉のお手紙」『少女の友』1940年7月号
「隣の歌聲」『少女の友』1940年8月号
「三村アキの綴方」『少女の友』1940年9月号

 『少女期』は母、弟とつつましやかに暮らしていた少女・ユミの辿る数奇な運命を描いた作品。小学校卒業とともに働きはじめたユミは、その姿を認めた老夫婦に請われ、養女として引き取られます。老夫婦がユミを望んだ事情が明かされるまでの展開はサスペンスもたっぷりで、以降の展開も老夫婦のいささか無茶な計画を受け入れたユミの葛藤、そして、計画をほんとうに成功させられるのかにハラハラさせられます。巧みな語り口は連載時に読んでいた少女たちをさぞ惹きつけたことと思われます。また、ユミが幼いころ仲の良かった美緒との交情も描かれています。裕福な家庭に育った美緒が女学校に進学したことで、いったん別々の道を歩むことになったふたり。望まぬかたちで訪れた再会のシーンはせつないですが、離れていても互いに思いやる心情が描かれ、しみじみと心温まります。
 『小さき花々』は、なんらかのかたちで女性同士の思いやる心情が描かれた作品が多く、なかでも、最期まで妹を案じたまま若くして逝った姉への追慕を描いた「嫁がざりし姉」、人気に差が開いても変わらぬ友誼を結んでいた少女歌劇の同期ふたりの別離のときを描いた「紫ゆかりの手記」が印象に残ります。また、戦時下の影響が色濃い「中尉のお手紙」でも、無心に仕える女中と、女中に目をかける奥様との関係が描かれ、女中が見栄のためについたちょっとした嘘に温情をかけるのが印象的です。
 そのほか、ある工場の社宅内での上下関係がもたらす不条理を描いた「白き薔薇」、療養先の隣家から聞こえてくる娘の歌声に慰撫される少女の日々と、悲しき顛末が描かれる「隣の歌聲」、本当のことを書くのがよい綴方(作文)と指導する教師が、提出された手記に涙する「三村アキの綴方」が収録されています。

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