少女の望まぬ英雄譚

書誌情報

著者:賽目和七 イラスト:ハナモト
カバーデザイン:AFTERGLOW
発行日:2024年2月1日
発売日:2024年1月15日
出版社:TOブックス
ISBN:9784867940457
版型:B6ソフトカバー

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ライト文芸投稿サイトロマンシスファンタシーバトル添い寝姉妹(義理)年の差シリアスダーク軍事

アルベラン王国将軍、クリシェ=アルベリネア=クリシュタンド。
剣と英雄の時代を魔術的革命の数々で終わらせた軍事・魔術史上最高の天才である。
冷酷無比な殺戮者として恐れられた彼女の実態は、
「えへへ、今日のごはんはなんですか?」
ちょっぴり食い気が盛んな甘えんぼうであった。
少々天然(?)で変わり者な少女の願いは大切な人達との平穏な日々、ただそれだけ。
しかしそんな願いをあざ笑うように、残酷な運命は12歳の村娘の手に剣を握らせ、死と暴力が支配する戦場へと引きずり込んでいく。
規格外で常識知らずな最強ヒロイン登場!
愛する者には天使の笑みを、仇なす者には一閃を。
王国最強の軍神が幸せへの道しるべを辿っていく、ガールズ・メメントモリー。

引用:TOブックスオンラインストア

メモ

  百合度 ☆☆ 深度 ☆☆☆

 純真無垢にして、無慈悲で冷酷。歪なあり方を示す少女・クリシェを、ありのまま受け止め、理解したうえで、愛情を注ぐベリーとの出会いが丁寧に描かれています。1巻のほぼ3分の1を占める前半部では、クリシェにたっぷりと愛情を注いでくれる育ての親との村での暮らしが描かれますが、親孝行なクリシェに好意的な見方をする村人もいますが、できすぎたところや、時折、人とはズレた感覚を見せるクリシェを薄気味悪く思う者もいます。特に、両親に次いでクリシェに好意的なカーラとの関係(これがエグイ)において顕著ですが、クリシェは誰にもその特異性を、理解されぬまま、愛されたり、恐れられたりしていて(母親のグレイスはやや感得するものはあったようですが残念な結末を迎えてしまいます)、クリシェの村での描写との対比が、より鮮やかにクリシェとベリーの関係を際立たせています。
 将軍の養女となったクリシェに対し、反発する義理の姉のセレネが、しだいにクリシェの人となりを理解し、大事に思っていくようになる過程も描かれます。クリシェを中心に丹念に描かれた関係性が、戦争をテーマにした殺伐とした世界観に深みをもたらしています。

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