書誌情報
著者:保坂祐希
装画:前田なんとか
装幀:坂野公一(welle design)
発行日:2024年6月25日
発売日:2024年6月19日
出版社:中央公論新社
ISBN:9784120057977
版型:四六判並製
後期高齢者になり、孤独や死が目の前に迫った真理子は、ずっと恨み続け、敵とも言える人物と友情を育むことはできるのか……。話題の作家・保坂祐希の新作は、シニア女性版『あらしのよるに』!?
引用:中央公論新社
メモ
折り合いの悪い兄の他は親族もなく、かつては離婚した夫と暮らしていた一軒家に独り寝起きする高齢者の佐伯真理子は、台風の夜、なぜか庭で倒れていた同年代の女性・山崎加代を助けます。家を閉め出され、行くところがないという加代をしばらく自宅に置くことにします。自分とは正反対のざっくばらんな性格の加代と過ごすうちに、以前の孤独な生活から解放された真理子は、次第にこのまま一緒に暮らすことを願うようになっていきますが……。
タイトルはちょっと過激ですが、老後の不安を抱えていた女性の日常が出会いによって明るく変化し、接点のなかった2人の女性の連帯が育まれていく過程が、ちょっぴりユーモラスに描かれた作品です。かなり後半になってから、加代の正体が判明すると、やっとタイトルが回収され、湿度の高い展開もありますが、最後に真理子の下す決断が痛快な後味を残します。