
書誌情報
著者柚木麻子
装画:金子幸代
装丁:bookwall
発行日:2021年11月1日
発売日:2021年10月27日
出版社:小学館
ISBN:9784093866248
版型:四六判並製
初出:第一部 「きらら」(小学館)2020年7月~10月号
第二部 「WEBきらら」2021年3月~8月号
第三部 書下ろし
大正最後の年。かの天璋院篤姫が名付け親だという一色乕児は、渡辺ゆりにプロポーズした。
彼女からの受諾の条件は、シスターフッドの契りを結ぶ河井道と3人で暮らす、という前代未聞のものだったーー。
引用:小学館
メモ
大正最後の年。かの天璋院篤姫が名付け親だという一色乕児がプロポーズした渡辺ゆりは、結婚の条件としてシスターフッドの契りを結ぶ河井道と3人で暮らすことを挙げ、乕児は戸惑いながらも、それを受け入れる――というシーンから始まるこの小説。現在も続く恵泉女学園の創設者である河合道の一生と女性たちの連帯を描いた作品です。
道の生い立ち、ゆりとの出会いとシスターフッドの契り、男性と変わらない教育を受ける権利を女性にもたらそうと学校の設立へと邁進していく姿が描かれていくなかで、道が出会う様々な女性たち、津田梅子、平塚らいてう、矢島楫子、市川房枝、名だたる女性活動家が居並ぶ様は壮観です。
自由恋愛、廃娼運動、女性参政権、そして、道も一生を捧げた女子教育。それぞれが目指すものはバラバラで、互いに友好的な関係を築けているとは限らずとも、いずれも社会から押し付けられてきた日本の女性の在り方に反旗を翻してきた面々であり、道なき道を切り開こうとした女性たちの姿に胸を打たれます。