らんたん

書誌情報

著者柚木麻子
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装丁:
発行日:2025年8月1日
発売日:2025年7月29日
出版社:新潮社
レーベル:新潮文庫
ISBN:9784101202440
版型:文庫版
初出:第一部 「きらら」(小学館)2020年7月~10月号
   第二部 「WEBきらら」2021年3月~8月号
   第三部 『らんたん』(小学館・2021年11月)書下ろし

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らんたん(新潮文庫)

一般文芸シスターフッド


らんたんの灯を絶やさないで。それは教育という名の希望なのだから──。伊勢に生まれた河井道は、札幌で新渡戸稲造に学び、米ブリンマー大学に留学、帰国後は津田梅子が創設した女子英学塾で教えた。良妻賢母ではなく、ひとりの人間として生きるための女学校をつくろうと、道は教え子の渡辺ゆりと奔走する。明治・大正・昭和の女子教育を築いた〈魂の姉妹〉(シスターフッド)を描く、輝きに満ちた大河小説!

引用:新潮社

メモ

  百合度 ☆ 深度 ☆

 大正最後の年。かの天璋院篤姫が名付け親だという一色乕児がプロポーズした渡辺ゆりは、結婚の条件としてシスターフッドの契りを結ぶ河井道と3人で暮らすことを挙げ、乕児は戸惑いながらも、それを受け入れる――というシーンから始まるこの小説。現在も続く恵泉女学園の創設者である河合道の一生と女性たちの連帯を描いた作品です。
 道の生い立ち、ゆりとの出会いとシスターフッドの契り、男性と変わらない教育を受ける権利を女性にもたらそうと学校の設立へと邁進していく姿が描かれていくなかで、道が出会う様々な女性たち、津田梅子、平塚らいてう、矢島楫子、市川房枝、名だたる女性活動家が居並ぶ様は壮観です。
 自由恋愛、廃娼運動、女性参政権、そして、道も一生を捧げた女子教育。それぞれが目指すものはバラバラで、互いに友好的な関係を築けているとは限らずとも、いずれも社会から押し付けられてきた日本の女性の在り方に反旗を翻してきた面々であり、道なき道を切り開こうとした女性たちの姿に胸を打たれます。

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