シリアルキラーに明日はない

書誌情報

原題(発表年):KILLING ME(2023)
著者:ミシェル・ギャニオン(Michell Gagnon) 
訳者:久賀美緒
カバーイラスト:白駒マル
カバーデザイン:藤田知子
発行日:2024年2月20日
発売日:2024年1月22日
出版社:二見書房
レーベル:ザ・ミステリ・コレクション
ISBN:9784576231358
版型:文庫版(A6)

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 アンバーはシリアルキラーに殺されかけたところを謎の女性に救われるが、移り住んだラスベガスでもなぜかその女性に再度救われ…

引用:二見書房

メモ

 百合度 ☆ 深度 ☆☆

 後ろ暗い過去と決別し、人生をやり直すために大学に入り、卒業間近だったアンバーは、シリアル・キラーに襲われます。すんでのところで謎の女性・グレースに助けられたものの、警察と関わりを持ちたくないアンバーは逃げ出し、再起を図るため、いったんラスベガスに向かうことにします。ところが、ラスベガスでも再会したグレースから、あるシリアルキラーに自身が狙われていることを知らされ、火の粉を振り払うためグレースとともに、シリアルキラーを追うことになります。
 ゲーム感覚で人を殺すシリアルキラーを扱った重い話ですが、アンバーの一人称で書かれた語り口はユーモラスで、冒頭から、助けてはくれたものの、警察への通報されるのを嫌がり、アンバーをさっさと放り出そうとするグレースと、アンバーがバチバチにやりあってるのがおかしく、物語に引き込まれました。主に活躍する登場人物は女性で、趣味で犯罪捜査をしているモーテルのオーナー・ドットや、その仲間のジェシーなどが、シリアルキラーとの対決に協力し、パワフルな女性たちのシスターフッドが描かれています。
 レズビアンのアンバーと、ヤク中の売春婦のマーセラとのロマンスにも少々筆が割かれていますが、ふたりの軽妙なやりとりは楽しい反面、ともにままならない過去を抱えていることもあり、ユーモラスな描写の内に苦味を加えています。

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