今週発売された百合文芸(4/22~4/28)

 22日は、百合剣戟ファンタジー『「人斬り」少女、公爵令嬢の護衛になる』の2巻が発売。公爵令嬢・ルーテシアの用心棒となった剣士・シュリネが、ルーテシアの命を受け、王女・フレアに迫る暗殺計画も阻止することに。主人公コンビはもちろん、1巻からひきつぐルーテシアとその侍女ハインとの関係、フレアとフレアを守護する騎士エリスの関係、それぞれの主従の在り方が描かれた主従百合のよくばりセットに、姉妹の絆も描かれた百合濃度の高いシリーズで今後も期待しています。
 同日発売の『カナシミ水族館 心が泣き止む贈り物』は、過去の対人関係で負った傷によって、人に心を開くことが出来なくなってしまった高校生の少女が、自身を気にかけてくれるクラスメイトから差し伸べられた手を拒絶したことから始まる作品。人々の悲しみが集まってできた不思議な水族館での経験を経て、拒絶したクラスメイトに向き合うまでを描いた幻想的な青春小説です。主人公の成長がメインで描かれていて、主人公とクラスメイトの関係に割かれたページは少ないですが、ふたりのやりとりを描く繊細な筆致が印象的でした。
 25日には『死亡遊戯で飯を喰う』の最新刊6巻が発売されました。主人公・幽鬼が、自らの作り出した幻想の自分と戦うという変わった展開を見せる巻でした。ほかにも、幽鬼が初めてデスゲームに参加したときの様子も描かれ、幽鬼と幽鬼専属のエージェントの関係にも踏み込んだ異色の巻となりましたが、巻末の予告をみると、次巻では、さらにこれまでと違った展開がみられそうです。
 同日発売の『病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる 1 ~友達が欲しくて魔境から旅立ったのですが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです!?~』は、魔法学校にやってきた破天荒な編入生が、世俗にまみれてないがゆえに、身分やら利害関係やらを考えず、純真な眼で、努力を評価されずにいたクラスメイトや、零落した貴族の少女の在り方を肯定し、無自覚に救っていく、爽やかな友情を描くファンタジーでした。

今週は、ライトノベルとライト文芸作品のみとなりましたが、以上の作品の他にも、一般文芸の方でも気になる作品が発売されているので、読み終えしだい、結果を反映していきたいと思います。

その他、今年刊行された百合文芸。今後発売予定の作品はこちら

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