3月発売の百合文芸

 3月は、ガールズラブ作品では『ここでは猫の言葉で話せ』完結巻となる4巻、『性悪天才幼馴染との勝負に負けて初体験を全部奪われる話』の2巻が発売されました。『少女星間漂流記』は、KADOKAWAの公式サイト「電撃ノベコミ+」に連載されていた作品に書下ろしを加えた連作集。ガールズラブではありませんが、主人公の少女2人の関係も深掘りされています。ほかにライトノベルでは、人気TVシリーズのノベライズスピンオフ第2弾『リコリス・リコイル Recovery Days』、前年暮れにアニメ化もされた『ひきこまり吸血姫の悶々』の最新刊が発売。後者は原作者脚本によるドラマCD付特装版も同時発売。
 一般文芸レーベルでは、百合文芸小説コンテスト受賞作、百合専門誌に掲載された作品などを含む著者の待望の第一短編集『嘘つき姫』が刊行されました。すべてが女性間のお話ではありませんが、大半の作品で、強力に印象に残る女性間の不可解な関係性が描かれています。ミステリ作品では、孤島に集められたミスコン関係者の女性たちの抱えた闇の部分が描かれた『殺める女神の島』、警官の姉と詐欺師の妹が密室殺人の謎に挑む『スリー・カード・マーダー』を取り上げました。
 シスターフッドが描かれた作品として、アニメやゲームなどで展開されている『SYNDUALITYシンデュアリティ』シリーズの前史を描く『はじまりの青』、姉を警官に射殺された黒人の少女が事の真相を追う『夜明けを探す少女は』、関連する作品集として、女性間の関係を取り上げた作品は少ないですが、少女小説のレジェンドたちによる『少女小説とSF』も取り上げています。
 また、バーチャルシンガー理芽の楽曲「食虫植物」を基に小説化した作品集『食虫植物【わたしのすべてがあの子ならいいのに】』には、2編の百合小説が含まれています。
 

発売日タイトル/作者出版社/レーベル
3/4
殺める女神の島
秋吉理香子
KADOKAWA
3/8
リコリス・リコイル Recovery days
アサウラ
KADOKAWA
電撃文庫
少女星間漂流記
東崎惟子
KADOKAWA
電撃文庫
3/15
ひきこまり吸血姫の悶々 (13)
小林湖底
SBクリエイティブ
GA文庫
ひきこまり吸血姫の悶々 (13) ドラマCD付特装版
小林湖底
SBクリエイティブ
GA文庫
3/18
ここでは猫の言葉で話せ (4)
昏式龍也
小学館
ガガガ文庫
はじまりの青
高島雄哉
東京創元社
創元推理文庫
夜明けを探す少女は
ジュリアナ・グッドマン
東京創元社
創元推理文庫
3/25
食虫植物【わたしのすべてがあの子ならいいのに】
橋爪駿輝非百合作品含む短編集
一迅社
3/27
嘘つき姫
坂崎かおる非百合作品含む短編集
河出書房新社
3/28
少女小説とSF
嵯峨景子+日本SF作家クラブ編参考作品評論
星海社
星海社FICTIONS
3/29
性悪天才幼馴染との勝負に負けて初体験を全部奪われる話 (2)
犬甘あんず
KADOKAWA
スニーカー文庫
スリー・カード・マーダー
J・L・ブラックハースト
東京創元社
創元推理文庫

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